チェーンソーのオイルを切らしたとき、手元にある油で代用できないか迷いますよね。
ただし、専用チェーンオイル以外で動かし続けるのはおすすめできません。ソーチェーンとガイドバーに必要な潤滑が足りず、摩耗や発熱につながるおそれがあるためです。
この記事では、代用品候補ごとの不安点、専用油がない時の対処、電動チェーンソーの給油確認、用途や季節に合う選び方まで分かります。
まずは、なぜ指定された専用チェーンオイルを使うことが基本なのか確認していきましょう。
チェーンソーオイルの代用は原則おすすめできない

作業の途中で専用油が空になると、「家にある油で少しだけ動かせないかな」と考えますよね。
ただ、チェーンソーに入れる油は、切削時に使う部品のために選ばれたものです。
結論からいうと、代用品を探す前に、機種に適合する専用チェーンオイルを使うのが基本になります。
呼び方の違いで迷わず、まずは手元の取扱説明書と製品表示を確認してみてください。
チェーンソーオイル・チェンソーオイルなどは同じ用途の呼び方
店頭や通販では「チェーンソーオイル」「チェンソーオイル」「チェーンオイル」など、似た名前が並んでいます。
表記が違うと別の油のように見えますが、一般にはソーチェーンとガイドバーへ給油するための専用油を指します。
メーカーによっては本体を「チェンソー」と表記し、販売店では「チェーンソー」と書くこともあるため、名称だけで探すと少し混乱しがちです。
購入時は、商品名の細かな違いよりも、チェーンソー用・チェンソー用として販売されていることを確認するほうが確実でしょう。
チェーンオイルは、エンジンを動かすための燃料やエンジンオイルとは用途が異なります。
また、電動チェーンソーであっても、ソーチェーンに給油する油が不要になるわけではありません。
「電動だから家庭用の油でもよさそう」と判断すると、必要な油の種類を取り違えやすいため注意が必要です。
容器のラベルで用途を確認し、迷う商品は購入先やメーカー窓口に問い合わせる。このひと手間なら、間違った油をタンクへ入れる不安を減らせます。
短時間なら使えると安易に判断しない
「数分の枝払いだけ」「空回しを一度するだけ」といった短時間の使用でも、代用してよいとは限りません。
作業時間が短くても、チェーンは高速で動くため、給油に向かない液体を入れた影響が小さいとは断定できないからです。
見た目がさらさらしている、油分がある、以前に別の機械で使えた、といった理由はチェーンソーへの適合判断になりません。
とくに屋外作業では、気温、木材の状態、切る太さ、作業姿勢によって負荷が変わります。
細い枝を少し切る予定でも、木材に当てた瞬間の抵抗まで家庭で正確に見積もるのは難しいものです。
「短時間だから大丈夫」という判断だけで代用品を給油しないでください。
油を切らした場面では作業を続けたくなりますが、予定を急ぐほど確認を飛ばしやすくなります。
庭木の手入れは後日に回せることが多い一方、誤った給油による確認や清掃には余計な時間がかかることがあります。
手元に専用油がないなら、使えるかどうかを推測して始めるより、作業を止める判断のほうが安心です。
取扱説明書とメーカー指定を最優先にする
専用油を選ぶ基準で最初に見るべきなのは、インターネット上の口コミではなく、その機種の取扱説明書です。
取扱説明書には、使用する油の種類、避けるべきもの、給油に関する注意が記載されている場合があります。
本体に貼られたラベルやオイルタンクの近くの表示も、確認材料になります。
説明書をなくした場合は、メーカー公式サイトで製品シリーズの取扱説明書を探すか、メーカー窓口へ確認する方法があります。
中古で入手したチェーンソーなど、製品名やシリーズ名が分かりにくい場合は、本体の銘板表示を控えてから問い合わせると話が早く進みます。
| 確認する場所 | 見る内容 |
|---|---|
| 取扱説明書 | 指定されている油の種類と使用上の注意 |
| メーカー公式情報 | 対応する製品シリーズと現行の案内 |
| 本体の表示 | 製品シリーズ名や給油箇所の注意書き |
| 購入店・メーカー窓口 | 説明書で判断できないときの確認 |
メーカー指定があるなら、それに従うのが最も迷いの少ない選び方です。
専用品は近所のホームセンターや農機具を扱う店舗でも見つかることが多く、購入前に容器表示を読むだけでも選択ミスを防げます。
代用できるかを考える時間を、適合品の確認に使うほうが結果的に気持ちよく作業へ戻れます。
専用チェーンオイルがソーチェーンを守る仕組み
チェーンソーのオイルを代用できるか考える前に、専用チェーンオイルが何を守っているのかを知っておくと判断を誤りにくくなります。
切断中のソーチェーンは高速で回り、ガイドバーの溝の中を絶えずこすりながら進みます。
ここに必要なのは「油っぽい液体」ではなく、回転中にも金属表面に残り続ける性質を持った潤滑油です。
ガイドバーとの摩擦や摩耗、焼き付きを抑える役割
ソーチェーンの駆動部では、チェーンのドライブリンクがガイドバーの溝に沿って滑り、先端のスプロケット周辺でも金属同士が接触します。
専用チェーンオイルは、その接触面に油膜をつくり、摩擦熱と部品の削れを抑えるために使われます。
油膜が十分に保てないと、ガイドバーが熱を持ち、溝の幅が不均一になったり、チェーンの動きが重くなったりします。
作業中に切れ味が落ちたように感じても、刃だけが原因とは限りません。
チェーンが乾いた状態で走れば、刃を立て直しても抵抗感が残ることがあります。
特に避けたいのは、潤滑不足のまま回転を続けて金属が高温になり、焼き付きへ進む状態です。
焼き付きが起きると、チェーン、ガイドバー、駆動部のどこまで影響したかを外から判断しにくく、部品交換が必要になる場合もあります。
専用油は木を切るための補助用品ではなく、回転する切断部を消耗から守るための消耗品、と考えるのが実態に近いでしょう。
粘度だけでは測れない糸引きと付着保持性
油を選ぶとき、「粘りがあるから大丈夫」と考えたくなりますが、粘度だけではチェーンソー用としての働きを決められません。
チェーンオイルには、回転中に飛び散りにくく、チェーンやガイドバーへまとわりつきやすい性質が求められます。
この性質は一般に糸引き性や付着保持性として扱われ、給油口から送り出された油を切断部に残しやすくします。
チェーンは回転とともに油を運び、ガイドバーの溝や先端まで潤滑を届けます。
ところが、ただ粘度が高い油では、低温時に流れにくくなり、オイルポンプから必要な量が出ないことがあります。
反対に、さらさらした油は供給されても遠心力で飛びやすく、肝心の接触面に油膜が残りにくいことがあります。
| 見る性質 | チェーンソーで必要になる理由 |
|---|---|
| 流れやすさ | タンクから給油経路を通り、切断部まで届くため |
| 付着しやすさ | 高速回転中でもチェーンとガイドバーに油を残すため |
| 温度への対応 | 寒暖による流れ方の変化を抑え、潤滑を安定させるため |
この三つは別々に見えて、実際には同時に満たす必要があります。
手で触ったときのとろみだけでは判別しづらい部分なので、専用品が前提になる理由がここにあります。
チェーン用とエンジン用は役割も注入口も異なる
チェーンソーには、チェーンを潤滑するためのオイルと、エンジンを動かすために使う燃料・エンジン用オイルがあり、役割が混同されがちです。
チェーン用のオイルは、外部にあるソーチェーンとガイドバーへ送られ、作業中に少しずつ消費されます。
一方、エンジン用オイルはエンジン内部の潤滑や燃焼に関係するもので、チェーンへ付着させる目的では設計されていません。
タンクの位置やキャップの表示は機種ごとに異なるため、給油前には本体表示と取扱説明書を確認する習慣が大切です。
注入口を取り違えると、始動不良や故障につながるおそれがあります。
「油だから同じ場所に入れてよい」とは考えず、チェーンオイル用タンクへ入れる液体なのかを必ず確かめてください。
チェーンソーのオイルを代用する判断では、潤滑性だけを見るのではなく、給油経路を通り、回転部に残り、機械の想定どおりに働くかまで考える必要があります。
身近な代用品候補をリスク別に比較

棚や車庫にある油を見ると、「少量だけなら代わりになるかも」と考えてしまいますよね。
ただ、チェーンソーに使う油は、潤滑できるかだけで判断すると失敗しやすく、チェーンに残るか、飛び散った後に油切れしないかまで見なければなりません。
身近な候補を比べると、どれにも見過ごせない不安があり、常用したい代用品はありません。
| 候補 | 潤滑の見込み | 主な懸念 |
|---|---|---|
| エンジンオイル | 油としては働く | チェーンに残りにくく、飛散しやすい |
| サラダ油・キャノーラ油 | 一時的には油膜を作る | 酸化や粘り、保管時の変質が心配 |
| 廃油 | 状態による | 異物・水分・劣化の有無を判断しにくい |
| ミシン油などの作動油 | 用途によって異なる | 粘度や成分が合わず、機械への影響も読みにくい |
エンジンオイルは保持性不足に注意
エンジンオイルは代用品として最初に候補へ上がりやすい一方、チェーンソー用として積極的に選べる油ではありません。
エンジン内部を潤滑するための油と、回転するチェーンに付着し続けるための油では、求められる性質が違うからです。
木を切っている最中はチェーンの動きが速く、付着力が足りない油は遠心力で周囲へ飛びやすくなります。
給油されているように見えても、切断部分まで十分な油が残っているとは限りません。
とくに気温が高い日や乾いた木材を続けて切る場面では、油が薄くなった感触に気付きにくいのが困るところです。
粘度が高い種類なら安心とも決められず、低温時には流れにくくなる場合もあります。
エンジンオイルは銘柄ごとに添加剤や粘度が異なるため、使える・使えないを一律には判定できません。
「余っているから使う」という理由だけでは、チェーンの保護につながりません。
サラダ油・キャノーラ油の使用例と推奨できない理由
サラダ油やキャノーラ油を使ったという話は見かけますが、使用例があることと、安心して使えることは別です。
植物由来の油にも潤滑性はあるため、短時間の回転で直ちに乾いた金属同士が触れるとは限りません。
それでも食品用の油は、屋外作業や機械内での長期的な安定性を前提に作られていません。
空気や熱に触れることで酸化し、時間がたつとにおいや粘りが出る可能性があります。
給油経路やチェーン周辺に残った油が変質すると、次に使うときの状態まで気にする必要が出てきます。
「土にやさしそう」という印象で選ばれることもありますが、チェーンソーの潤滑性能とは別の話です。
食用油を入れた後に専用油へ戻す場合も、残った油の扱いを含めて手間が増えます。
切らしたときほど身近な油に手が伸びますが、植物油を常用する判断は避けたほうが無難でしょう。
廃油は状態や混入物を確認できないため避ける
使用済みのエンジンオイルなどの廃油は、見た目が油らしくてもチェーンソーへ入れないでください。
黒く見えるだけでは劣化の程度が分からず、水分、金属粉、燃焼由来の汚れが混じっているおそれがあります。
細かな異物でも給油経路に入れば、吐出のばらつきや詰まりの原因になりかねません。
容器の底に沈殿物がないように見えても、目で確認できない粒子までは除けません。
ろ過すれば使えると考える人もいますが、劣化した油の性質や混入した成分まで元に戻るわけではありません。
廃油は節約目的で使うほど、点検や清掃の負担を増やしやすい選択です。
処分が必要な油は自治体の案内や販売店の回収方法を確認し、機械用の油として再利用しないようにしましょう。
ミシン油・ブレーキフルード・パワステフルードは使わない
透明でさらっとしたミシン油は扱いやすそうに見えても、チェーンには残りにくく、飛散による油切れが心配です。
ミシンのような比較的軽い可動部を想定した油であり、高速で屋外を回るチェーン向きとはいえません。
ブレーキフルードは潤滑油ではなく、ブレーキ系統で力を伝えるための液体です。
吸湿しやすい性質があり、塗装面や樹脂部品への影響も考えられるため、給油用として使う理由がありません。
パワーステアリングフルードも車種や方式で成分が異なり、チェーンソーの給油用途を前提にした液体ではありません。
余り物の液体は粘度だけで選ばず、そもそもの用途が潤滑用かを確かめることが大切です。
手元にある油で何とかしたくなる場面こそ、用途が異なる液体を混ぜない判断が機械を守ります。
専用油を切らしたときに取るべき対処
給油タンクが空になったことに気づいた時や、別の油を入れてしまった時は、「少しだけなら動かせるかも」と判断しないことが大切です。
チェーンソーは刃が回る道具なので、潤滑不足のまま運転を続けると、ソーチェーンやガイドバーに負担が集中します。
慌てて対処すると誤った場所に給油したり、状態を悪化させたりしやすいため、まず止める、確認する、相談するの順で進めましょう。
作業を中断して適合する専用油を用意する
オイル切れに気づいたら、切断の途中でもエンジンまたは電源を止め、再始動を保留してください。
木材に刃が少し入っている状態だと作業を終えたくなりますが、潤滑されないチェーンを回すほうが修理につながるリスクは大きくなります。
まずは本体を安定した場所に置き、電動式なら電源プラグを抜くか、バッテリーを外します。
給油口のふたを開ける前に、本体が熱を持っていないかも確認したいところです。
作業直後はガイドバーやチェーン周辺が熱くなっている場合があるため、素手で触れず、十分に冷ましてから扱います。
用意するのは、チェーンソー用として販売されている専用チェーンオイルです。
エンジンオイルや食用油などが手元にあっても、その場しのぎで注ぎ足すより、販売店やホームセンターで適合品を入手するほうが安心です。
本体の説明書には、使用できる油の種類や粘度の目安が記載されていることがあります。
説明書が見つからない場合は、メーカー名と製品シリーズ名を控え、メーカーの製品ページまたは問い合わせ窓口で確認してから購入すると、給油後の迷いが減ります。
給油時は、注入口の周辺に付いた木くずや土を布で取り除いてください。
異物がタンクに入ると、油の通り道が詰まる原因になるためです。
ふたを閉めたら、漏れがないことを確かめてから次の確認へ進みます。
代用品を入れた後は追加運転の前に確認する
すでに代用品を入れてしまった場合は、状態を確かめないまま「専用油を足して薄めれば大丈夫」として運転を続けないでください。
何を入れたか、どのくらい入れたか、代用品を入れた後にチェーンを回したかで、必要な対応が変わります。
まず本体の電源を切り、燃料式ならエンジンを停止したまま、給油した物の種類をメモしておきます。
容器が残っていれば、商品名や成分表示をスマートフォンで撮影しておくと、相談時に説明しやすくなります。
次のような状態があれば、追加運転は避けてください。
- チェーンやガイドバーが普段より熱い
- 焦げたようなにおい、煙、異音が出た
- チェーンの動きが重い、引っかかる
- 油が出ているか分からない、または漏れがある
特に異音や煙が出た状態での再始動は控えてください。
短時間しか動かしていなくても、外から見えない部分に負荷がかかっている可能性があります。
反対に、代用品を入れたものの一度も始動していないケースでも、自己流で処置を進める前に相談先を決めるほうが確実です。
給油タンクと燃料タンクを取り違えた可能性がある時は、なおさら始動しないことが優先です。
チェーンソーは給油口が複数ある機種もあるので、ふたの表示と説明書を照らし合わせて確認しましょう。
自己判断で抜き替えず説明書やメーカー窓口へ相談する
誤って入れた油を早く抜きたくなっても、タンクを傾ける、ホースを差し込む、分解するなどの自己判断はおすすめできません。
こぼれた油が本体内部や床に広がったり、部品の組み直しが不完全になったりすると、元の問題より対応が複雑になります。
相談する時は、「入れた物」「始動の有無」「運転した時間の目安」「異音や発熱の有無」を伝えると話が早く進みます。
| 確認して伝える内容 | 伝える理由 |
|---|---|
| チェーンソーのメーカー名・製品シリーズ名 | 構造や指定油を確認してもらうため |
| 誤って入れた油の種類 | 抜き取りや点検の要否を判断するため |
| 始動・切断をしたか | 潤滑経路やチェーン周辺の確認範囲が変わるため |
| 異音・煙・漏れの有無 | 使用停止や修理相談の緊急度を伝えるため |
説明書にお手入れ方法が載っていても、誤投入後の処置まで書かれていないことは珍しくありません。
その場合はメーカー窓口、購入店、修理対応をしている販売店へ連絡し、指示を受けてください。
作業を一日延ばすのは残念でも、チェーンソーを無理に動かしてガイドバーや駆動部まで傷めるほうが負担は大きくなります。
専用油を常備し、残量を作業前に見る習慣をつけておくと、急な代用判断をしなくて済みます。
電動チェーンソーでも給油と吐出確認は欠かせない

電動チェーンソーは音が比較的静かでも、ガイドバーの溝をチェーンが高速で走る点はエンジン式と変わりません。
「電動だからオイルはいらない」と思って使うと、切れ味の低下や異常な発熱につながるおそれがあります。
作業前の給油量確認と、始動後の吐出確認を習慣にしておくと、切断中に慌てずに済みます。
駆動方式が違ってもチェーン部分には潤滑が必要
電動式でも充電式でも、ソーチェーンとガイドバーがこすれ合う部分には潤滑が必要です。
モーターでチェーンを動かすか、エンジンで動かすかは駆動源の違いであり、チェーン部分の摩擦までなくなるわけではありません。
オイルが十分に届いていれば、チェーンはガイドバーの溝をなめらかに走り、熱と摩耗を抑えやすくなります。
反対に供給が不足すると、バーが熱を持ったり、チェーンの動きが重く感じられたりします。
細い枝を少し切るだけなら大丈夫、と考えたくなる場面もありますが、短時間でも空のまま回すのは避けたいところです。
電動チェーンソーの潤滑油は、燃料用ではなくチェーンを守るための油として管理します。
本体の表示や取扱説明書で、オイルタンクの位置と推奨される油の種類を一度確認しておくと安心です。
電源を切った状態でタンクや漏れを点検する
給油量を見るときは、必ず電源を切った状態で行います。
コード式なら電源プラグを抜き、充電式ならバッテリーを外すなど、取扱説明書にある停止手順に従ってください。
スイッチを切っただけでは、持ち替え時や点検中の誤作動を完全には防げません。
確認する場所は、オイルタンクの残量、キャップ周辺、ガイドバーの付け根、本体の下側です。
タンクが空に近い場合は、作業時間が短くても補充してから始めます。
キャップが緩んでいたり、本体の周囲に新しい油が広がっていたりするなら、そのまま始動しないでください。
保管後に本体の下へ少量の油が落ちることは機種によってありますが、使用前から目立つ漏れが続くなら点検が必要です。
漏れた油を拭き取っても再び増える、タンク周りが常にべたつく、といった状態なら販売店や修理窓口に相談するほうが安全でしょう。
チェーンに触れる作業では手袋を使い、停止中でも刃先を素手でなぞらないようにします。
始動後は説明書に沿ってオイルの供給状態を確かめる
タンクに油を入れただけでは、チェーンまで届いているかは判断できません。
供給確認の方法は機種ごとに異なるため、まずメーカーの取扱説明書に記載された手順を優先します。
一般的には、周囲に人や物がない場所で本体を安定させ、説明書どおりに短時間作動させて、バー先端側へ油が回っているかを確認します。
このとき、チェーンを手で触って油の有無を確かめるのは危険です。
作動中のチェーンには絶対に手を近づけず、飛散した油やバー周辺の状態を離れた位置から見ます。
確認場所として木材や紙を近づける方法が紹介されることもありますが、可燃物への飛散や巻き込みを防ぐため、説明書にない方法は行わないほうが無難です。
給油直後は供給が安定するまで少し時間がかかる場合もあるため、慌てて長時間回し続けないことが大切です。
作業中にも、切断面が焦げる、煙が出る、動きが急に鈍くなるなどの変化があれば停止します。
補充しても出ない場合は吐出不良を疑う
オイルタンクが満たされているのに供給が確認できないなら、単なる油切れではなく吐出不良の可能性があります。
注油口の詰まり、ガイドバーの油穴や溝にたまった木くず、オイル通路の汚れなどが原因になることがあります。
まずは電源を完全に切り、取扱説明書で認められた範囲の清掃を行います。
ガイドバーを外せる機種でも、分解手順や清掃箇所に自信がなければ無理をしないでください。
内部のポンプや通路に問題がある場合、外から見える部分を拭くだけでは直りません。
補充後も油が出ない状態での使用は中止し、メーカーの修理相談窓口または購入店へ確認しましょう。
切断できるかどうかではなく、チェーンを適切に潤滑できているかで作業再開を判断するのが安全です。
用途や季節に合う専用チェーンオイルの選び方
チェーンソー用オイルは、「入れば何でもよい」と選ぶと、季節が変わった頃に飛散量や切断感の違いとして現れやすいものです。
専用チェーンオイルを選ぶときは、原料名だけで決めず、作業する気温、木の種類、使用頻度、そして取扱説明書の指定を順番に確認すると迷いません。
迷った場合は、まずチェーンソーのメーカーが案内する条件に合う製品を選ぶのが安全です。
鉱物系や植物由来など原料の特徴を確認する
チェーンオイルには、主に鉱物系のものと植物由来のものがあり、保管場所や作業後の扱いやすさで向き不向きが変わります。
鉱物系は一般に品質が安定しており、長期間保管する可能性がある人や、季節をまたいで使う人に選びやすい種類です。
一方、植物由来のチェーンオイルは、周囲の環境への配慮から選ばれることがありますが、製品によっては長く放置すると状態が変わることもあるため、容器の保管条件と使用期限を確認しておきましょう。
山林や庭での剪定後、地面に落ちる油が気になるなら植物由来、使用間隔が空きがちなら保管性を確認した鉱物系、という考え方は実用的です。
| 原料の区分 | 選ぶ場面の目安 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 鉱物系 | 保管期間が長い、幅広い条件で使う | 推奨粘度、低温時の流れやすさ |
| 植物由来 | 周辺環境への配慮を重視する | 保管条件、開封後の扱い |
原料の違いは優劣ではなく、使い切れる量を買えるかどうかまで含めて判断したいところです。
粘度と付着保持性を使用環境に合わせる
オイルがチェーンに残りにくいと感じる場面では、粘度と付着保持性が作業環境に合っていない可能性があります。
粘度は油の流れにくさを表す性質で、気温が低い時期には硬くなりやすく、高温時にはさらりとしやすい傾向があります。
付着保持性は、回転するソーチェーンから油が飛び散りすぎず、必要な位置にとどまりやすくする性質です。
細い枝を短時間切る作業と、太い丸太を続けて切る作業では、必要になる油の残り方も同じではありません。
屋外で長時間使うなら、容器に記載された使用温度の目安や用途表示を見て、作業予定日の気温に合うものを選びます。
「粘りが強そう」という印象だけで選ばず、チェーンソー本体の指定条件を優先してください。
油が硬すぎれば吐出しにくくなり、柔らかすぎれば消費が早く感じられることがあります。
季節区分がある場合は指定条件を優先する
冬用・夏用など季節区分がある製品は、住んでいる地域の暦ではなく、実際に作業する場所の気温で選びます。
朝は冷え込み、昼に気温が上がる時期は判断しにくいですが、作業時間帯に低温が予想されるなら低温条件に対応した製品を検討するのが無難です。
反対に、日差しのある場所で薪づくりを続けるような日は、高温側の条件に対応したチェーンオイルが候補になります。
地域によっては年間を通して同じ製品で困らない場合もありますが、寒暖差が大きい場所では季節ごとに見直すほうが扱いやすくなります。
取扱説明書に指定油や推奨条件が書かれているなら、容器の季節表示より本体メーカーの指定を優先しましょう。
特にメーカーが純正品または同等条件の油を案内している場合は、自己判断で粘度を変えず、メーカーの製品ページや説明書で適合を確認すると安心です。
業務利用では在庫管理と始業前点検を習慣にする
剪定業や造園業などでチェーンソーを使うなら、油を選ぶ時間よりも、必要な油を切らさない仕組みを作るほうが作業の安全につながります。
保管棚には使用中の容器とは別に未開封品を置き、「最後の一本を開けたら発注する」といった基準を決めておくと補充忘れを減らせます。
複数人で使う現場では、油の種類、保管場所、開封日を共有しておくと、用途の異なる油を持ち出す混乱も防ぎやすくなります。
- 始業前にオイルタンクの残量を見る
- 容器の表示と使用するチェーンソーの指定を照合する
- 季節の変わり目は保管中の油の状態を確認する
- 残量が発注基準を下回ったら、その日のうちに補充手配する
手元にある量だけで一日の仕事量を見積もると、あと少しで終わる場面ほど判断が雑になりがちです。
専用チェーンオイルを余裕を持って準備し、始業前に確認する。この小さな習慣が、作業を途中で止めないための現実的な対策になります。
チェーンソーオイルの代用は避けて指定された専用油を使おう
チェーンソー用オイルの代わりを探したくなる場面でも、基本は機種に合う専用チェーンオイルを使うことです。
ソーチェーンとガイドバーは高速でこすれ合うため、ただ油分があるだけの身近な油では、十分な潤滑を保てないおそれがあります。
専用油が切れたままの運転や、代用品を入れたままの使用は避けましょう。
電動式でも給油は必要なので、作業前には油量を見て、始動後には吐出しているかを確かめる習慣が安心につながります。
手元にある油で何とかしたい気持ちは自然ですが、無理に作業を続けると、ソーチェーンやガイドバーに負担がかかります。
まずは作業を止め、取扱説明書で指定を確認してから、気温や用途に合う専用チェーンオイルを用意しましょう。
もし別の油を入れてしまった時も、慌てて動かさず、誤った場所に給油していないかを落ち着いて確認してください。
「少しだけだから」と判断しないことが、大切な道具を長く使うための近道です。
次にチェーンソーを使う予定があるなら、保管場所のオイル残量を今のうちに確認してみませんか。足りなければ、取扱説明書の指定に沿った製品を準備しておくと、作業当日に迷わず始められます。給油量と吐出の確認も作業前の決まりにして、安全に気持ちよく切断作業を進めましょう。

